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アンニバレ・ファニョ―ラは、
1866年12月28日に農家の息子として
モンフェラートに生まれ
モンティリオ・ディ・カザーレ・モンフェラートに
おいて、いくつかの職業に就きました。
 
若い頃には9人の兄弟と共に家業を手伝い、
その後1888年にはパン職人として、
さらに後には機械工として働きました。
 
彼についての情報は少なく、
いつ頃、弦楽器製作に対する情熱が成熟したのか
お話しするのは難しいです。
 
モンティリオには弦楽器工房がなかった為、
1894年にトリノへ引っ越すまで
ヴァイオリン製作に近づくことは
難しかったと考えられます。
 
当時、エヴァジオ・エミリオ・グエッラや
カルロ・オッドーネ等と交流のあった、
マレンゴ・リナルディの工房との
初めての出会いがあったことは確かです。
 
彼の最初期の仕事は、
当時のほかの弦楽器製作者と同じように
ギターでした。
ギターは、より多く普及しており、
したがって修理の必要な楽器や、
売買できる楽器を見つけることが簡単でした。
 
おそらく、すでにモンティリオにおいて
製作活動は始められていました。
1895年にはリナルディの工房に、
おそらく協力者として通っていたと考えられます。
1898年には彼自身が“楽器の製作者”である
と表明している文書を見ることが出来ます。
 
この年に、後に主人であり指導者となる弁護士、
オラツィオ・ロッジエロに出会います。
彼が若いファニョ―ラに
沢山の重要な楽器を見せることになります。
それにより、製作における詳細や秘密を
理解するために、
細部にわたって研究できるようになります。
 
1903年からは、トリノにおいて、
商業上一番重要な統率者であることが、
しっかりと見て取ることが出来ます。
 
1906年以降、まずジェノヴァの展示会において、
次に、20台のヴァイオリンを展示し
完売することが出来た
ミラノの万国博覧会において知られ始めました。
 
この期間にアンニバレは、
ジュゼッペ・ロッカや
フランチェスコ・プレッセンダの楽器から
インスピレーションを得ました
彼の楽器を覆う美しく赤い、
そしてやわらかいニス、
数年後には熟成し酸化し
本当にアンティークのように見えます。
 
彼のヴァイオリンに、
インスピレーションを得た
マエストロたちの作品にせまる魅力を与えます。
 
1910年から1915年まで、
彼の評判はうなぎのぼりとなり、
アンティーク楽器の販売においても
彼の地位をより豊かにさせていきました。
 
結婚後一年で妻と死に別れるという不幸にあい、
精神的に辛い期間モンティリオに戻り、
そこで3年間過ごした後、
トリノで2度目の挙式を
マリエッタ・ダンツェーナと挙げたことが
みてとれます。
 
1920年代は芸術家として
非常に充実した時期でした。
ファニョーラは当時のトリノ・スクールの
マエストロ達の一人として、
際立つ、エレガントで洗練されたスタイルを確立し、
楽器の需要はイタリア国内のみならず
大洋を越えて求められました。
 
この時期、リッカルド・ジェノヴェーゼと
ヴィットリオ・ファシオーロの、
さらに、兄弟や甥のアンニバロットの
協力を得ました。
 
古くからの友人、エヴァジオ・グエッラは、
その器用さによって
アンティークのコピーヴァイオリン製作を
請け負っていました。
 
ファニョーラの仕事は常に高い品質を保ち、
非常に興味深い模作は、
J.B.グァダニーニ、
プレッセンダ、
ロッカであれ
上手に仕上がっており、
たびたび本物をも凌駕し、
その製作は
彼が亡くなる1939年10月16日まで続きました。

 

イタリアン・ヴァイオリンの巨匠達4

オールドモダンヴァイオリンを中心に

イタリアンヴァイオリンの専門家として

世界中の音楽家、弦楽器製作家、鑑定家と

幅広い交流を持つパオロ・バンディーニ氏に、

ストラディヴァリ、アマティ、グアルネリの

大巨匠の後に続いた

1800年、1900年代の

イタリアン・ヴァイオリンの巨匠を

紹介していただくシリーズ。

今回は、

ファニョーラです。

 

(読者からの質問も募集しています)

以下の写真は、クリック(タップ)すると、

拡大され、キャプションも出ます。

パオロ バンディーニ Paolo Bandini

 

イタリアンヴァイオリン研究家&コンサルタント

 

イタリア・ボローニャ出身。

若くしてエミーリア・ロマーニャ州高等裁判所専属骨董宝飾品鑑定士を務め、古美術・宝石商をしていた20代の頃、ボローニャ派弦楽器製作の巨匠O.ビニャーミに出会う。

 

古美術・宝石商を続けながら弦楽器の芸術の世界に魅かれ、巨匠O.ビニャーミの下ヴァイオリン製作を学ぶ。13年間にわたるビニャーミとの厚い親交は彼の死まで続き、その間A.ポッジ、M.カピッキオーニ、C.ポッラストリ等、歴史に残る多くの偉大な製作家とも交流を深め、オールド・モダン・ヴァイオリンの研究、専門家としての道を歩み始める。

 

イタリア弦楽器製作に関する研究、多くの書籍の原稿を手掛ける他、ピエモンテ州後援「イタリアンヴァイオリンの巨匠達」DVDを監修。

 

ミラノ・G.ヴェルディ国立音楽院より特別講師として招かれる等、イタリア各地で「イタリアンヴァイオリンの歴史と選定の仕方」講演会を行なう。

 

2006年、世界初の弦楽器インターネットオークション“Da Salo”の創設者の一人として注目を集める。

 

カッリガーリコレクションの保管者として多くの若手音楽家に弦楽器貸与を行い、イタリアを代表するヴァイオリニスト、U.ウーギ、S.アッカルド他、V.ムローヴァ、M.ブルネッロ、ヨーヨー・マ、G.ソリマ等と交流を持ち、多くの音楽家からイタリアンヴァイオリンの専門家として厚い信頼を得ている。

 

イタリアンヴァイオリンについてのご意見ご質問は下記のメールでお受け致します。

(日伊英3カ国語対応)

paolobandini@hotmail.it

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