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尾池のブルーマンデー憂さ晴らし
ヴァイオリニスト 尾池亜美
第81回
ウィーンでキュッヒル・クァルテット
こんにちは! 憂さ晴らしのお時間です。
オーストリアは0~5℃とだいぶ気温が下がってきました。
先日はウィーンで、初めてキュッヒルQを拝聴。日本の沢山のファンの人たちから噂を聞いていたのでとても楽しみにしていました。
聞いてみるとなるほど音程の取り方が絶妙。タイミングや歌い方なんかは独特さは感じませんでした。でも、どう考えてもキュッヒル氏と彼らにしか出来ない『絶妙』な演奏。
プログラムはハイドン、フランセの弦楽四重奏曲。そして後半にシューベルトの鱒。個人的にはハイドンは素晴らしいのだけどあまりに『当たり前』な演奏で、しっくりきすぎてある意味感動しませんでした。(笑)
もちろん、当たり前な演奏をするのが最もむずかしいというのが大前提ですが。なるほど本場ってこういうことか…って、納得行った感じでした。
でも、ロマンは無い。まあある意味室内楽というジャンルと、彼らのスタイルには、ロマンは要らないかもしれないけれど…うーん、でも本当はちょっと欲しい。(笑)
個人的に好きだったのはフランセ。新鮮な野菜のように美味かったです。キュッヒル氏の音がパリッと決まって物凄くクールだった。
フランセは変わった曲に聞こえる演奏が多い気がしますが、彼らの、当たり前のように弾くという姿勢が、これまた絶妙にマッチしていました。
音程の取り方が絶妙だと感じたのは、何でだろうと考えました。それぞれ音程を合わせようとはしていない。でもやっぱりチェロ、ヴィオラ、セカンドの調和は素晴らしくて、それありきのキュッヒル氏、そしてキュッヒル氏ありきのベース。曲調もあってか完全に1:3、ファーストが独立したカルテットのスタイル。
遠くで感じる限り、キュッヒル氏は彼自身の手の形をヴァイオリンの上で活かしきっていて、それゆえの揺るぎない個性をもった音程と、揺るぎないフレーズ感を出していたように思います。
基礎ありきの革新、というのはどの芸術でも共通だと思いますが、彼は伝統を受け継いでしっかりと壊していて、精神的にはロックにすら感じました。笑
というわけで、当たり前のように、いいコンサートだった。
街ではクリスマスマルクトが11月半ばから開いています。東京ではロマンチック、もしくは人混みが凄いイメージのクリスマスですが、こちらでの感覚は日本のお正月と一緒。前日までしっかりとマーケットで盛り上がり、クリスマス当日は全員お家で家族と過ごすため、街はシーーンとします。
逆に年越しは友達とカウントダウンして花火が上がって、というイメージです。
大変に寒いので早々に帰ってコタツにミカンと行きたいところですが、まずは師走をひとっ走りしなければ、グラーツに帰って練習練習、頑張らないけど真面目にやろ、と。
それでは、良い一週間を♪
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