今日のグルーヴ〈299〉
今をときめく、将棋の藤井四段の記者会見の時だが、カメラマンのシャッター音がうるさくて、彼が何を言っているのかまるで聞こえなかった。今時のカメラやソフトの性能から考えて、フラッシュもいらないのではないか。
確かに、人気や注目度を表わすかのようで、それはそれで華やかな部分でもあるが、何故あんなにたくさん撮るのか。数打ちゃ当たる、ということなのか。下手さ加減を自ら暴露しているようなものではないのか。
クラシックの演奏家ではこのようなことはまずないのだが、かつてある巨匠が来日したときに、巨匠の歳や体調などに配慮して、フラッシュ無しという条件の下、撮影がなされたのであるが、フラッシュ無しとはいえ、機関銃のようなシャッター音に、なんでこんなに撮るのか、と腹立たしく思ったことがある。
確かに、その巨匠は、高齢で、もしかしたら、もうこれで最後の来日になるだろう、という状況であった。だからこぞって撮影したのであろう。しかし、シャッターの連打の行為はまさに、その巨匠にそのことを宣告しているかのようで、とても嫌な気持ちになったものだ。
私は、カメラマンではないが、取材で撮影することもあった。しかし、カメラを持ったら免罪符を与えられたかのような、辺りかまわず、傍若無人にシャッターを切り続けるカメラマンを見て、あのような振る舞いは絶対にしないと決めたものだ。