今日のグルーヴ〈321〉
昨今の政治の世界を顧みるまでもなく、政治の世界は一寸先は闇と、昔からよく言われるが、一寸先は闇は政治の世界に限ったことではない。
一見、今は平穏な日々を過ごしているようでも、まるで油断することはできない。
いつの時代でも、地震、津波、洪水等の天変地異で、一瞬のうちに昨日までの平穏な日々が崩壊してしまう。
それだけではなく、交通事故や、犯罪に巻き込まれたり、揉事や不用意な言動によって、一瞬で一分前までの平和が崩壊する。
これに株の暴落や、景気後退、さらには、テロや戦争が加わり、毎日のように振り込め詐欺や自爆テロで何人もの人が亡くなったというニュースが流れてくると、生きているだけで、それは奇跡的に恵まれたことなのだと思えてくる。
しかし、生きているだけで幸福であると満足するのでは、あまりにも不幸である。
そこで、である。人間は芸術の世界で、自ら表現することを見出した。2万年前、クロマニヨン人が描いたラスコーの動物壁画にすでにその行為は見られるのである。
ギリシャ時代の哲学者は、人間は、生活するために仕事に追われてはならない。ゲームや哲学や芸術をするのが人間本来の姿である、と言っているのである。
余計な事、考えても仕方がない事は考えても仕方が無い。一寸先は闇なのである。そのような暇はないのである。
すべてを解決するのは、グルーヴである。グルーヴは、あらゆる不条理を解消する特効薬であり、無念無想を導く哲学である、と言ってみたい。勿論、音楽だけでなく、芸術全てにグルーヴはあるに違いない。